膝の痛み
ペインクリニック治療の対象となる膝の痛みは、主に脚の筋肉や関節の老化と体重増加や力仕事などの負担が原因となっておこる変形性膝関節症で、主として中高年の女性に多い病気です。
症状は立ち上がる時や歩き始めに突き刺すような痛みが膝に走ります。これは長年の苦労が膝に出て、関節内で骨と骨のクッションの役割をしている軟骨がすり減った状態です。さらに病状が進むと軟骨ばかりでなく骨そのものも変形して、安静時にも痛み、関節に水がたまって関節が曲りにくくなります。
日常生活での予防としては、太ももの筋肉の衰えを防ぐ目的で、自転車こぎや椅子に腰掛けて膝を伸ばす運動をすることです。もっと積極的な方はサイクリングや水泳など膝に体重の負担をかけない運動が最適です。また直接的な負担軽減としては体重を減らす、重い荷物は持たないようにする、杖を使用する、お座りは避けるなどです。同時に痛みによって血流障害が起っていますので、保温につとめ、冷えによる血流障害の追い討ちをかけないようにします。
治療は干からびた軟骨に水気を呼び戻すヒアルロン酸という軟骨保護剤を膝関節に注入します。これは高級化粧品にも使われている極めて安全な薬ですので繰り返し使用が可能です。合わせて少量の局所麻酔薬を同時に使用すると、痛みによる血流障害が改善されてより効果的です。
痛みをとることによって運動が可能となり、太ももの筋力がつけば膝関節の変形の進行も防止できますので、一度は試してみたい治療法です。
それでもなかなか治らない場合にはリハビリテーションが効果的です。動きが悪くなった膝関節の機能を高めながら、変形を進行させないように予防することが必要です。