当院は「痛みの診断と治療」を専門とする病院です。

ボトックス外来

 ボトックス(ボツリヌス)療法とはボツリヌス菌が産生する天然のタンパク質ボツリヌストキシンを主原料とした薬を筋肉内に注射する治療方法です。ボツリヌストキシンには筋肉が収縮する力を抑える作用があります。この効果は数ヶ月程度のため繰り返し投与を行う必要があります。主に痙縮、顔面けいれん、痙性斜頸の治療に使用されます。また重症腋窩多汗症にも保険適応があります。

痙縮

 脳卒中や脳梗塞の後遺症でよく見られる障害の一つに低足のつっぱり(痙縮)という症状があります。手足の緊張が高くなりすぎて動かしにくくなったり、勝手に動いてしまう状態のことです。手足の突っ張りは手指が握ったままとなり開こうとしても開きにくい、肘が曲がる、足先が足の裏側の方に曲がってしまうなどの症状がみられます。またこのためリハビリがしづらい状態になったりします。ボトックス治療を行うことで歩きやすくなったり、食事がしやすくなったりリハビリがしやすくなります。
当院では超音波装置を使用して目的筋に注射を行っています。
ボトックス治療を行った後はリハビリを集中して行った方がいいので数日入院での治療をおすすめしています。外来でご相談ください。


片側顔面けいれん

片側の目の周りから始まることが多い、顔の片側が自分の意思とは関係なくピクピクと動く病気です。ひどくなると片目が開けられなくなることもあります。顔のけいれんを起こしている部位に数カ所ボトックスの注射を行います。効果は数日後から出現し3−4ヶ月持続します。ただし脳内に病気がある場合がありますので、受診時に頭部MRI検査が必要になります。


眼瞼けいれん

通常両側性です。はじまりは光がまぶしく感じたり瞬きが増えます。目が乾いたりゴロゴロする感じもみられます。ドライアイに似ていますが、ドライアイの治療をしても改善しません。進行するとまぶたが下がってきたり、目が開けていられなくなります。
両側の目の周囲に数カ所ボトックスの注射を行います。


痙性斜頚

頚部ジストニアとも呼ばれ頚部、肩、背部の筋肉が収縮し、頭、首などが不自然な形になってしまう病気です。首が曲がったままだったり、首が下がったりします。
首や肩の周りの筋肉にボトックス注射を行います。


重症腋窩多汗症

脇の多汗症は、体温調節に必要な量を超えて、通常よりも多く脇汗をかいてしまうことで日常生活に支障をきたす疾患です。多汗症の自己チェックがネットなどで簡単にできます。
チェックで病院受診おすすめとなった方はご相談ください。塗り薬など医薬品の治療もありますし、ボトックス注射も可能です。


 (当院ではボトックスによるしわ取りなどの美容外科は行っておりません。)