当院は「痛みの診断と治療」を専門とする病院です。

その他の痛みについて

膵癌・胃癌の痛み

 ペインクリニック領域で癌の痛みの治療で劇的効果を発揮することができるのは何と言っても、進行した膵癌と胃癌の痛みの治療です。 WHOでも推奨されている内臓神経ブロックという方法で癌に侵されて痛みを出している神経を麻痺させることが可能です。
 治療法はレントゲンを見ながら背中から細い針を刺して内臓神経にアルコールを注入して神経を麻痺させ痛みの伝導を遮断します。

リウマチ

 「リウマチ性疾患」とは筋・骨・関節の疾患ですが、関節リウマチは広い意味の膠原病に含まれます。 関節リウマチは女性に多い疾患です。発症は30歳代から40歳代が最も多くみられ、朝方に手足の指のこわばりで始まる場合が多く見られます。 当院では血液検査、レントゲン検査、超音波検査等でリウマチを診断いたします。

リウマチ性多発筋痛症

 リウマチ性多発筋痛症は50歳代以上の高齢の方に多く、男女比は1:2とやや女性に多い病気です。 他に原因のない肩、腰周囲の筋肉痛を起こす病気で、血液検査で炎症反応を認めるのが特徴です。 原因不明の全身の痛みで長年痛みを我慢していた方がこの病気であったということがよくあります。
 リウマチ性多発筋痛症には、ステロイド薬がとてもよく効きます。しかも、比較的少量で劇的な効果が期待されます。 しかし症状がよくなったと勝手に減量または中止してしまうと、再発しますので、必ず医師の指示に従って服用をすることが大切です。
 この病気に関連したものとしてはげしい頭痛を伴う側頭動脈炎があります。 失明することもある恐ろしい病気で時にリウマチ性多発筋痛症の合併例もあります。

エコーガイド下Fasciaリリース

エコーとは?

 エコーは超音波診断装置の略称です。エコーは超音波を使い体の内部を見る事ができ、特に心臓や腹部の検査に頻繁に用いられてきました。近年、解像度が大幅に向上し、筋肉や関節などの運動器に対しても非常に有益な検査法として注目されています。

Fascia(ファシア)とは?

 最近テレビや雑誌で筋膜リリースという言葉をよく耳にすることがあるかもしれません。筋膜は英語でMyoFascia(マイオ・ファシア)と言い、Fasciaの一部です。Fasciaの日本語訳は筋膜ですが、実際には腱や靭帯、脂肪等の結合組織を意味しています。
 我々の治療対象は筋膜だけではないことから、筋膜リリースでなく、Fasciaリリースと呼ぶことにしています。

リリース(Release)とは?

 リリースは日本語では、開放する、解き放つという意味があります。医学的には、柔らかい組織の緊張を緩める(リラクゼーション)ために外科的な切開・切り込みを行うことを意味します。リリースという日本語は剥離(剥がす)という意味が強いですが、英語のReleaseは組織の緊張を解くという意味も含むと考えられます。
 異常なFasciaの病態が緊張や癒着だとすれば、治療要素として異常なFasciaの1) 緊張を緩める(リラクゼーション)、2)剥離が大切です。

エコーガイド下Fasciaリリースとは?

 最近の研究で痛みの原因は、筋膜上に多く存在することが分かってきました。特にエコー上、痛みの部位に白く厚く重なった筋膜が高率に認められるようになってきています。
 さらに筋膜以外にも、腱や靭帯、脂肪などの結合組織にもエコー上で白く重積して見える組織が発生することが分かってきました。
 現在我々の治療対象は、筋膜だけでなく筋膜を含んだ結合組織となってきています。
 Fascia(ファシア)の日本語訳は筋膜ですが、実際には腱や靭帯、脂肪等の結合組織を意味することから我々は筋膜リリースでなく、Fasciaリリースと呼ぶことにしています。
 このように、エコー上、白く重積した異常なFasciaは、痛みの原因(発痛源)となるだけでなく、Fascia自体の伸張性や周囲組織との滑走性(すべり)が低下している傾向にあります。
 エコーガイド下Fasciaリリースとは、エコーを用いて、この白く重積したファシアを確認して、そこに薬液を注入することによって、この異常なファッシアを解消する治療法です。痛みが低下するだけでなく、ファシアの伸長性や関節可動域の改善が期待できます。

筋膜性疼痛症候群(MPS)とは?

 通常、我々が急激に重い物を持ったり、無理な姿勢等により繰り返し筋に負荷をかけたりすると、筋に過剰な負荷がかかります。筋への過剰な負荷は、いわゆる「筋肉痛」として生じ、数日程度で回復をします。しかし、負荷が繰り返したり、寒冷にさらされたり、血行の悪い状態が続いたりすると、筋が短期間では回復できなくなります。
 この状態が筋膜性疼痛症候群(MPS)になった状態です。筋膜性疼痛症候群(MPS)では一般的な筋肉痛とは異なり、痛みやしびれの強さが相当激しいものになり、更に痛みやしびれの範囲が広範囲に発生する傾向にあります。