当院は「痛みの診断と治療」を専門とする病院です。

その他の痛みについて

関節リウマチ

 関節リウマチは主に関節に炎症が起きて痛みや腫れが生じる病気です。進行すると関節の変形や運動障害を引き起こすことがあります。関節リウマチは膠原病とよばれる病気の一つに含まれ、免疫機能に異常が生じて自分自身を攻撃してしまう、自己免疫疾患です。 関節リウマチは女性に多くみられ、発症は40歳代から60歳代が最も多いとされます。主な症状は手足の指などの小さい関節に痛みや腫れが出現し、朝方のこわばりで始まる場合が見られます。 当院では血液検査、レントゲン検査、超音波検査(関節エコー検査)等で関節リウマチを診断いたします。関節エコー検査に関しては、当院臨床検査部のページをご覧ください。

リウマチ性多発筋痛症

 リウマチ性多発筋痛症は50歳代以上の高齢の方に多く、男女比は1:2と女性に多い病気です。肩、腰周囲、大腿などに筋肉痛を起こす病気で、急に発症することが多く、患者さんは発症した日を覚えていることがしばしばあります。血液検査で炎症反応を認めるのが特徴で、発熱が認められることがあります。ですので、発熱や筋肉痛、炎症反応上昇がみられた場合には、感染症や悪性腫瘍の検索を行うことも必要となります。何も異常がなかった場合、リウマチ性多発筋痛症を疑います。特に、高齢で両肩の痛みがある患者さんではこの病気を疑います。
 リウマチ性多発筋痛症には、ステロイド薬がとてもよく効きます。しかも、比較的少量で劇的な効果が期待されます。 しかし症状がよくなったと勝手に減量または中止してしまうと、再発しますので、必ず医師の指示に従って服用をすることが大切です。
 この病気に関連したものとしてはげしい頭痛を伴う側頭動脈炎があります。 失明することもある恐ろしい病気で、リウマチ性多発筋痛症との合併もあります。

エコーガイド下Fasciaリリース

エコーとは?

 エコーは超音波診断装置の略称です。エコーは超音波を使い体の内部を見る事ができ、特に心臓や腹部の検査に頻繁に用いられてきました。近年、解像度が大幅に向上し、筋肉や関節などの運動器に対しても非常に有益な検査法として注目されています。

Fascia(ファシア)とは?

 最近テレビや雑誌で筋膜リリースという言葉をよく耳にすることがあるかもしれません。筋膜は英語でMyoFascia(マイオ・ファシア)と言い、Fasciaの一部です。Fasciaの日本語訳は筋膜ですが、実際には腱や靭帯、脂肪等の結合組織を意味しています。
 我々の治療対象は筋膜だけではないことから、筋膜リリースでなく、Fasciaリリースと呼ぶことにしています。

リリース(Release)とは?

 リリースは日本語では、開放する、解き放つという意味があります。医学的には、柔らかい組織の緊張を緩める(リラクゼーション)ために外科的な切開・切り込みを行うことを意味します。リリースという日本語は剥離(剥がす)という意味が強いですが、英語のReleaseは組織の緊張を解くという意味も含むと考えられます。
 異常なFasciaの病態が緊張や癒着だとすれば、治療要素として異常なFasciaの1) 緊張を緩める(リラクゼーション)、2)剥離が大切です。

エコーガイド下Fasciaリリースとは?

 最近の研究で痛みの原因は、筋膜上に多く存在することが分かってきました。特にエコー上、痛みの部位に白く厚く重なった筋膜が高率に認められるようになってきています。
 さらに筋膜以外にも、腱や靭帯、脂肪などの結合組織にもエコー上で白く重積して見える組織が発生することが分かってきました。
 現在我々の治療対象は、筋膜だけでなく筋膜を含んだ結合組織となってきています。
 Fascia(ファシア)の日本語訳は筋膜ですが、実際には腱や靭帯、脂肪等の結合組織を意味することから我々は筋膜リリースでなく、Fasciaリリースと呼ぶことにしています。
 このように、エコー上、白く重積した異常なFasciaは、痛みの原因(発痛源)となるだけでなく、Fascia自体の伸張性や周囲組織との滑走性(すべり)が低下している傾向にあります。
 エコーガイド下Fasciaリリースとは、エコーを用いて、この白く重積したファシアを確認して、そこに薬液を注入することによって、この異常なファッシアを解消する治療法です。痛みが低下するだけでなく、ファシアの伸長性や関節可動域の改善が期待できます。

筋膜性疼痛症候群(MPS)とは?

 通常、我々が急激に重い物を持ったり、無理な姿勢等により繰り返し筋に負荷をかけたりすると、筋に過剰な負荷がかかります。筋への過剰な負荷は、いわゆる「筋肉痛」として生じ、数日程度で回復をします。しかし、負荷が繰り返したり、寒冷にさらされたり、血行の悪い状態が続いたりすると、筋が短期間では回復できなくなります。
 この状態が筋膜性疼痛症候群(MPS)になった状態です。筋膜性疼痛症候群(MPS)では一般的な筋肉痛とは異なり、痛みやしびれの強さが相当激しいものになり、更に痛みやしびれの範囲が広範囲に発生する傾向にあります。