当院は「痛みの診断と治療」を専門とする病院です。

手・肘の痛みについて

肘の痛み

 スポーツをして肘や手首が痛くなることはよく見られますが、日常の家事や軽作業でも痛めることも少なくありません。また最近はパソコン作業やスマートフォンの操作によって痛みを訴える方が増えてきています。  物を持ち上げたりする時、肘の外側(親指側)が痛い時は、肘についている腱の障害によるテニス肘という病気が考えられます。また手首には多くの腱がありますので、腱鞘炎になりやすい場所です。雑巾をしぼる時に親指の付け根付近に激痛を感じた方も少なくないと思います。 当院ではレントゲン写真以外に超音波装置(エコー)やMRIを用いることで、これらの病気の早期発見に努め、傷んだ腱などを可能な限り正確に診断しています。また注射を行う際にはエコーを用いて、傷んだ場所を確認しながらより確実に注射を行うよう心がけています。

手根管症候群・肘部管症候群

 手のひらがしびれたり、筋肉がやせてくる時は手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)や肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)と呼ばれる病気の可能性があります。これらの病気は神経の通り道に異常が起こり、神経の機能を障害する病気です。これらの病気を早期に診断し、仕事やスポーツを中止し安静を十分にとらないと、痛みが長引いたり、筋肉がやせてしまうことにもなりかねません。場合によっては手術が必要な場合も少なくありません。
 当院では神経伝導速度検査装置を導入しています。これを用いることで、傷んだ神経を可能な限り正確に診断した上で、注射や内服薬による治療を行っています。詳しくは、当院臨床検査部のページをご覧下さい。

ばね指

 親指や人差し指に多い症状です。指を曲げるときに引っ張る筋の腱が、手のひらの通り道ではれてしまい、引っかかるために起こる現象です。 指を動かすたびにかなりの痛みを伴います。引っかかりのあるところを軽くたたくと痛みが走ります。 指の使い過ぎで発症します。はれた腱の部位を超音波装置(エコー)で確認して、はれ止めの薬を注射します。

ドケルバン病

 ド・ケルバンは発見者の名前のようです。手首の親指側がぞうきんを絞るような動作で極度に痛みます。この症状は、親指側の筋の腱を使い過ぎて起こります。仕事上この筋をよく使う人や、出産後の若い女性が子どもを抱いて生じるケースが多いようです。最近はパソコンやスマートフォンの操作によって痛みを訴える方も増えていいます。症状が強ければ、超音波装置(エコー)を用いて腱への局所注射をして痛みを和らげます。しかし、再びこの筋に負担をかけると痛みは再発します。

胸郭出口症候群

 胸郭出口症候群は首の骨から出てきた手に行く神経の束が鎖骨の下あたりで圧迫されて症状が出現します。よくある症状は、手を肩より高い所に1分以上挙げていると手がしびれ力が無くなってきます。たとえば電車のつり革に手を掛けていると手がしびれてどうしようもなく重くなってきます。また高い棚に荷物を上げようとしている途中で手が重くなってきたりします。腕神経叢ブロックが効果的です。

頚椎由来の痛み

頸椎椎間板ヘルニア

 7個ある首の骨の中にはトンネルがあり、脳から続いている脊髄が走っています。首の脊髄は左右に小さな神経の枝を伸ばして、肩や腕、手先に拡がっていきます。首の骨の間にはクッションのような部分があり椎間板といいます。椎間板の中身が何らかの原因で骨のトンネルに飛び出し、脊髄や脊髄から出た神経を圧迫すると手や肩に強い痛みやしびれが出ます。 これが頚椎椎間板ヘルニアです。頚椎椎間板ヘルニアに対しては星状神経節ブロック腕神経叢ブロック神経根ブロックなどの治療方法があります。 最近は超音波(エコー)を用いて効果的に腕神経叢ブロック神経根ブロックができるようになったので症状の改善は以前より早くなりました。

頚部脊柱管狭窄症

 首の骨(頸椎)の中には、頭と連絡する脊髄が走っています。年齢とともに首のトンネルが細くなる方や、生まれつき狭い方は脊髄が圧迫されやすくなります。脊髄が圧迫されれば手や肩に強い痛みやしびれが出たり、細かい作業に障害をきたします。これには、星状神経節ブロック腕神経叢ブロック神経根ブロックなどの治療を行います。治療の効果が悪い場合や歩行障害などがある場合は手術も考慮しなければなりません。

後縦靱帯骨化症

 後縦靱帯は脊髄が通る骨のトンネルの中にあり、骨と骨をつなぐように縦に張り付いている靱帯(堅い板状のひも)です。 この靱帯が骨化して厚くなると、脊髄を圧迫して頸部脊柱管狭窄症に似た症状を出します。 靱帯は縦方向に長くあるために多くの神経が圧迫されるため、首肩腕にかけて症状の起こる範囲が広くなります。星状神経節ブロック腕神経叢ブロック神経根ブロックなどの治療を行います。